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ブログ 〔 マニアック放言録 〕

2016.12.06

「競演」という名の「侮辱」

日本の男尊女卑の悪弊か、無能な番組プロデューサーの時代錯誤な凌辱か。
若い女性なら、誰でも彼でもホステスだとでも思っているのだろうか。

『ミュージックフェア』で繰り広げられるアーティスト同士の「コラボレーション」なら許せる。
しかし、ここ数日、非常に不愉快で目に余る、ぞんざいな「バックダンサー」扱いの番組が続いた。
もう黙っていられない。堪忍袋の緒が切れた。

確かに、若くて人数の多い女性アイドルグループが、主役を取り巻いてダンスに加わると絵が華やかになる。
ただ、それが成り立つのは、ダンスする側にも芸術性とエンターテインメント性が備わっている場合に限られる。

良い一例は、2015年のNHK紅白歌合戦で、乃木坂46の主要メンバー6名と藤あや子とのコラボだ。
主役の魅力と踊り手の魅力が相乗効果を生み、質の高いステージ・パフォーマンスへと昇華していた。

さて、ここからが大問題の侮辱的なステージだ。

一つは、12月5日放送のTBS第49回日本有線大賞での「Perfect Human」。
贅沢にも48&46グループの主要メンバーを従えてのパフォーマンス。まあ、Radio Fishに罪はないだろう。
A級戦犯なのは、トップアイドル達を雑にバックダンサー扱いしている性根の腐り果てた番組演出サイドだ。
観ていていたたまれなかった。彼女らの一所懸命ぶりが痛々しかった。彼女らがあまりにも馬鹿にされていた。

ご覧になった方は感じたのではないだろうか。
アイドル・ヒエラルキーの頂点に君臨している彼女らは、プロとしてステージを盛り立てようと精一杯振舞っていた。
しかし、気付いてほしい。彼女らは一人一人が、何十万人ものファンから支持されている尊厳高き存在なのだ。
名も無きバックダンサーではない。個人の優しい心根に付け込んで、背後で支えているファンらをも侮辱した格好だ。

まだ、フォーメーション分けをしてフィッシュボーイとダンスコラボするなら救いようがあった。
まだ、オリラジと歌唱パート分けをして、パフォーマンスの相乗効果を狙うなら救いようがあった。
悲しいかな、そんなものは微塵も無い。ただ、バックで並んで似た振りを、しかもバラバラに踊るだけ。

Radio Fishにすれば、プロのダンサーであるフィッシュボーイにとって彼女らのダンスは足手まといでしかなく、
彼女らにすれば、楽曲衣装を着たまま、何故その世界観を崩すようなダンスをしなくてはならないのかということだ。
生駒ちゃんは藤森と仲がいいので乗ってはいたが、エースのななせまるやまゆゆに、あんなダンスをさせてはならない。

そこで、考えてみてほしい。男女を逆にすると、いったいどれだけ陳腐な状況なのか。
例えるなら、きゃりーぱみゅぱみゅとキッズダンサーの後ろで、Smapと嵐にダンスさせているようなものだ。
どう考えても、どの角度からどう見ても、完全に有り得ない状況だろう。誰一人として得をしない。ファンも観客もだ。

ポッと出のRadio Fishに対し、競演した全グループともキャリア、セールス、人気、実績共に上回っている
AKB48に続き、乃木坂46も『サヨナラの意味』で遂にミリオン歌手の仲間入りを果たした、正にトップアイドルだ。
「競演」とは名ばかりで、プロのアーティストとしての尊厳を踏みにじった「侮辱」としか思えない。

もう一つは、12月6日放送のNHK総決算うたコン忘年会での五木ひろしと欅坂46の競演(?)だ。
一部の欅坂46ファンには、こういった大御所しか出ないような歌番組に出演すること自体が嬉しいようだが、
それはそれ、トークや持ち歌パフォーマンスの話であって、意味の無いぞんざいな扱われ方が許されるものではない。

ここで問題なのは、欅坂46にほとんどパフォーマンスさせず、ただ後ろにはべらせているだけだったことだ。
五木ひろしにすれば、地味な絵柄が華やかになるメリット、新人の欅坂46にすれば、少しでも認知度を高めるメリット、
番組制作者にすれば、若者から年配まで幅広い年齢層にチャンネルを合わさせるメリットなどがあるのだろう。

そこで、考えてみてほしい。我々視聴者、特に欅坂46のファンにとっては、一体どんなメリットがあるというのだろうか。
確かに出演者が多い、若くて華やかな雰囲気がある、本格的なステージを創り上げる時間はない。それは分かる。
だが、演者の魅力を引き出せないような演出は行うべきではない。視聴者に対して失礼極まりない。

欅坂46は、デビュー8箇月とは言えプロである。ステージに立たせるのであれば、それなりの仕込みを行うべきだ。
人数が多いのだから、全員が即席の競演用ダンスを習得できなければ、選抜した数名に行わせてもよい。
少々厳しい要求にも、それが本業なら応えられるはずだ。そうすることで初めて演者の魅力が引き出される
その演者の魅力が、画面を通して我々視聴者に伝わってこそ、そのステージが鑑賞すべき価値を生み出す。

制作者都合の “やっつけ仕事” ほど、演者と視聴者をバカにしたものはない。
戦場であるステージで、エンターテインメントを実践できない、実践する気が無いのであれば、参戦させるべきではない。
欅坂46は何の訓練も受けず、何の武器も持たされず、いきなり戦闘の最前線に放り込まれたような状態だった。

こんな、「競演」という名の「侮辱」を受け続けていけば、魅力が消耗していくだけでなく、視聴者の心も離れてしまう
番組制作者の安易な企画や思慮の浅さが、やがて音楽番組自体をも弱体化させていくことになろう。
ブームの絶頂期に、レスラー達がファンを置き去りにしたまま、好き勝手に分裂・独立を繰り返し、
一気に弱体化した数十年前のプロレス業界とイメージが完全にダブってしまった。

少なくとも乃木坂46と欅坂46の運営スタッフは、彼女らのブランド力を守り育むマネジメントに徹してほしい。
某事務所のようにスキャンダルを押し隠す必要はないが、プロとして本業に関わる尊厳は死守すべきである。

本物のアイドル・オタクなら、「TVに出た」などと軽薄に喜んでいないで、彼女らの扱われ方にもっと敏感になり、
支えているファンの立場から、発すべき苦言はしっかりと声を大にして発信すべきなのではないか。

頼むぜ、オタク先輩たちよ。アッシは初心者な訳だから。
オタク文化の創造者として、頼もしい背中を見せてくれよ。

恐れるな、おののくな、吠えろ、声あげろ!!

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